大前研一さん『「知の衰退」からいかに脱出するか?』
大前研一さん『「知の衰退」からいかに脱出するか?』を読みました。
- 作者: 大前研一
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/01/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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タイトルにある「知の衰退」というのは自分の問題意識にすっと入ってきたため手に取ってみました。
世の中がなんだかおかしい。いつの間にか円周率は3になり、かけ算ができない・分数が理解できない子供が増えている。ロスジェネと下流社会が拡大している。大人もバナナでやせるとテレビでやれば売り切れる。テレビでドキュメンタリーが視聴率が良いとなれば猫も杓子もドキュメンタリー。お笑い芸人がギャラが安く視聴率が稼げるとなればおなじように一色に染まる。
大前さんはこの本の中で「考えること」の大事さを再三再四語っています。
- 本を読む時間を1としたら、5ぐらいの時間を何が書いてあったか、それは自分にとってどういう意味があるのか、自分の会社にどういう意味があるのか、我々の社会にどういう意味があるのかを考える時間に充てなさい。次の本を読むよりもその本について徹底的に考えることが大事。そして読み終わったあとはみなで議論し、新しい知を作り上げていく。
自分にも言えることですが、本というのは読むとつかれて、満足してしまうもの。でも本当に大事なのはそこではなくて、その本で何を感じたか、どう仕事と会社と社会に活かすのかを考えて、その本で得たことをアウトプットし、そのアウトプットを、誰かに届くように磨くことだと思います。そして、例えばブログがアウトプットの場であれば、そこから人とつながり、人と問題意識をぶつけ合い、議論し、切磋琢磨していくというのが理想です。
- 21世紀のリーダーに必要な資質・能力は次の4つ。
- 1.方向を示す。
- 正しい方向さえ決められれば、その方向に進んだときにどのレベルまで到達しなければならないかを具体的な目標として設定できる。そのために現状に対する深い認識と先を読める能力が必要。
- 2.程度と方法と示す。
- ゴルフでいうなら「ここは4つで刻む」「クラブの選択はこうして、このよに刻むべき」とアドバイスすること。
- 3.具体的にやってみせる。
- 程度と方法を示してもできない人間に「じゃあやってみせよう」と言えないリーダーは失格。
- 4.できる人間を連れてくる。
- リーダー自身もできない場合はできる人間をよそから連れてくる。できる人材を世界中に求めるのが勝ち組の常識。
- 1.方向を示す。
まだまだ未熟ですが、やはり立場上リーダーシップを一歩一歩磨かねばと強く思っています。この四つは比較的意識している気がします。やはり方向性と目標、目標までのステップ、ステップの振り返り、ステップと目標のずれの修正、という一連の作業は私のような普通の人が、チームで大きな仕事を成し遂げるためには必要不可欠な要素です。これを貫く仕組みがPDCAサイクルということになりましょうか。
また、具体的にやってみるということもとても大事ですね。結局おまえはできるのか、と言われてできませんすみませんというのは避けたい。そしてできるんだけど、これはあなたにお願いした方がチーム全体として良い結果になるし、あなたにしか任せられないから是非お願いするという流れで仕事はお願いしたい。
あとできないことというのは意識します。できないことができるようになるというのはとても時間がかかるので、その投入時間に見合ったリターンが得られるか、そこで得られた差別化は競争上有利に働くかは自分でもチームでも考えます。自分が普通にやっていること、継続してできること、意外に楽しんでやっていることだけれども、自分以外の人から見るとそれはとてもびっくりするような見事な仕事であるということは意外にあるものです。私はそれが才能(の芽)みたいなものなんだと思います。そこを仕事を通じて徹底的に伸ばすこと、リーダーは、その環境を作ることが求められると思っています。
私たちのパートナーである任天堂の岩田社長は、ほぼ日刊イトイ新聞「任天堂の岩田社長が遊びに来たので、みんなでご飯を食べながら話を聞いたのだ。」の中で次のようにおっしゃっています。
自分がおもしろいと思うことを
どんどんそこに投げ込んでいって、
それが受け入れられたときに快感が生じて、
そういうことがどんどん得意になる。
この循環を成立させられることこそが
おそらくその人の才能だと思うんです。
つまり、才能というのは、
「ご褒美を見つけられる能力」
のことなんじゃないだろうかと。
この言葉にかなり共感を覚えます。
まあえらそうに書いていますけど、私の反省というのもあって、私は英語というものが大の苦手で高校時代は13点/100点という点数をとって危うく留年しそうになったくらいなんですけど、なぜか大学卒業後外資系企業に入ってしまい、こりゃだめだ勉強しないと思って、必死に勉強しました。
かなりやったんですけど、これって自分の才能ではなかったような気がするんですよね。一緒に勉強していた仲間は私の半分とかその半分とかでマスターしていったものですから。多少なりとも人並みに英語ができるようになったので後悔はしていませんが、これが才能ってやつなんだなぁとあとで気がついたわけです。
苦手な物を克服するというフェーズは必ず必要だと思います。しかし仕事や勉強などなんでも良いのですが、ああ自分は苦手なものを超えられたな、という手応えを得たら、そこからは苦手克服ばかりをやるのではなく、得意なところを伸ばすということを意識的にやったほうが良いんじゃないかというのがなんとなく思うことです。