川崎裕一 / マネタイズおじさん

元起業家でスタートアップのコーチやってます。スマートニュース株式会社執行役員。

クーリエ・ジャポン、Google全世界の本をスキャンせよ!

NYTのGoogle Book Searchの特集記事が日本語訳となってクーリエ・ジャポンに載っていました。

Google
全世界の本をスキャンせよ!
奇想天外な発想で、 ネット業界をリードしてきたグーグル。
地球上のあらゆる書物を集める
「万能図書館」構想も、世界中を驚かせた。
"人類の英知"を一つにできる時代はやってくるのか?

ここら辺が興味深かったです。

  • 「ミリオンブック計画(Million Book Project)」では、人件費の安い国に書籍を送りスキャンを行う。スタンフォード大学では一冊に30ドルかかるが中国では10ドルですむ。現在は1日10万ページの速度で進行中。スキャン工場はインドと中国に計20ヶ所以上あり、2年以内に100万点以上の本をデジタル化する
  • 本の単位は1冊から1ページ、1ラインへと変化。熱心な読者がページとページをリンクで結び、タグを利用して繋げていく。
  • 著述家は断片化や再編集を前提に原稿を書くようになる。実用書(料理本、ハウツー本、旅行ガイドなど)はページ単位で購入されるようになる。そしてこれらを縦横無尽に切り貼りして本棚を作り上げる人が評価される。ビジネスが生まれる。
  • 今まで刊行された本の中で著作権が切れ公共財として社会に還元されたのはたったの15%。そして加えて15%は印刷・販売が現在も継続されている。残りの75%は完全に闇の中に埋もれている。これまで世界で出版された3200万冊のうち、75%の2400万冊が闇の中。
  • Googleのアプローチは、著作権の問題はおいておいてまずスキャンする。検索結果の表示は検索語を含む数行に留める。それによって闇の中におちた2400万冊を救う。(このアプローチはGoogleのネットにおけるアプローチと同じ。ロボット巡回をしてほしくない場合にはno robotを置いておいてね、という。)
  • 複製物の価値が失墜した今、富の生産手段となる新しいビジネスモデルは、関係を生み出す機能、リンク、ネットワーク、共有手段の提供になった。

私は大の本好き、雑誌好きですが

  • 本の内容をメモって置いて、それを活用するというのがいまいち効率的にできていないなぁ
  • 本を読み消化した内容と、別な本の内容とをうまく関連づけして新しい価値を生み出したい
  • その内容を人と共有したり、内容を発表したりする場としてブログは一部その機能は果たされているけど、まだ不便だ

と思っています。

Google、Amazon、ミリオンブック計画が成し遂げようとしていることは本好きで何かを生みだそう、本を読んだ感動や、得たことを誰かに共有したい、さらにはその「編集価値」を認めてもらいたい、うまくいけば金になればいいなと考えている人にとっての基盤となるプロジェクトだなぁと思いました。

彼らの考えていることをつっこんで理解できる良い特集と思います。