「値段はあなたにお任せします」方式はpixivとパブーにあっているかもね
「ペイ・アズ・ユー・ウィッシュ(値段はあなたにお任します)」方式の価格決定が成功する条件。
- 限界費用の低い製品
- 音楽、ソフトウェア
- 公正な顧客
- 信頼性を失うことなく、多様な価格で販売できる製品
- 買い手と売り手の強いつながり
- 極めて競争的な市場
(ジャグモハン・ラジャー,Z・ジョン・チャン『スマート・プライシング』)
- 作者: ジャグモハン・ラジュー,Z・ジョン・チャン,藤井清美
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/07/07
- メディア: 単行本
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顧客に公正な金額を支払ってもらうようにする仕掛けが興味深かったのでメモ。
- 「レディオヘッド」の音楽ダウンロード。ダウンロード前に金額を打ち込ませる。タダでDLする場合は「ゼロ」と打ち込まないといけないから公正さを呼び起こさせる。
- 香港のレストラン「テン・サウザンド・ブッダ・ハウス」では事前予約が必要で匿名性を低下させている。同席者の前でケチと思われたくない心理。
- 「ジャスト・アラウンド・ザ・コーナー」ではあまりに過小な金額を払おうとする人からはお金を受け取らない。人前で恥をかきたくないから公平な金額を支払う。
「レディオヘッド」の場合、ただダウンロードリンクを置くのではなく、ダウンロードの前に金額を打ち込ませて、打ち込んだ後にダウンロードリンクを出すようにした。レディオヘッドの音楽をあなたはタダでダウンロードするんですか?レディオヘッドはコストを掛けて作っているのに?という問いかけをフォーム一つで嫌味なく実現しているというところが面白い。確かになかなかゼロと打ち込むのは勇気がいるかもしれないな。
「テン・サウザンド・ブッダ・ハウス」と「ジャスト・アラウンド・ザ・コーナー」の事例は、衆人環視の元ではケチになれないという心理をうまくついた例と思う。この仕組みはソーシャル・コマースにも応用が効きそうだ。Facebookで「ペイ・アズ・ユー・ウィッシュ」方式でモノを売るという。
支払った金額自体の公表はしないとして、無料で何かを手に入れた場合には、無料で手に入れたアイコンがでるというのは若干罰ゲームっぽいが友達しかいないFacebookの中で恥をかきたくないという心理は強く働きそうな気がする。
「レディオヘッド」が今同じキャンペーンやったらFacebook連携はきっとやるんだろうな。
日本の企業で「ペイ・アズ・ユー・ウィッシュ(値段はあなたにお任します)」方式が成功する条件をみたしているところを考えてみると
- pixiv
- パブー
とかがかなり条件を満たしているのではないか。
pixivのアーティストの新作イラストや何がしかのプレミアムイラストを、この方式で販売できるようになれば、投げ銭方式よりも成功しそうな気もする。システムをgrowとかに任せて見た目をこの方式にするというだけだったらもっと簡単にできるか。
pixivのアーティスト、パブー作家の収益化手段の一つとしてありうるのかもしれない。