会社はだれのものか
- 作者: 岩井克人
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2005/06/25
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 38回
- この商品を含むブログ (75件) を見る
印象に残ったのはここら辺です。
- 会社は、法人である。
- 法人は、ヒトではないけれども法律上ヒトとして扱われるモノである。
- そのため、会社は、モノとしての側面とヒトとのしての側面を併せ持つ存在となる。
- 株主は、モノとしての会社を所有する。
- 会社は、ヒトとして会社の資産を所有する。
- 経営者は、ヒトとしての会社の代表者である。
- 株主は、モノとして会社を所有しているのであって、ヒトとしての所有しているわけではないので、会社の資産を自由にすることはできない。ヒトは、ヒトを所有できない。
- 利益を生み出すために違いを生み出すために新しいことを常にし続けることが必要である。そしてヒトこそが違いを生み出すことができる唯一無二の存在であり、ゆえに重要だ。
- 一人のヒトが違いを生み出すためにアイデアを出し続けることは難しい。だから違いを連続して生みだし、利益を持続的に確保していくためにはどうしても複数のヒトによって構成された組織が必要である。一人のヒトのアイデアを別のヒトが改良する。複数のヒトの小さなアイデアを大きなアイデアに組み合わせる。複数のヒトが複数のアイデアを少しづつ組み合わせてアイデア枯渇のリスクをヘッジする。
- 利益を出している会社は、社会的に価値を持ち、生き続ける権利がある。
- 利益最大化ではない目的・理念を会社が持つ。それが会社にとって一番大事な人的資産を育てる。
はてなで行っている「はてなアイデア」は、「会社はだれのものか」における「違いを継続的に生み出す」ということを地でいっているものだと思います。一人一人の頭の中なんてものは限界があり、それよりも多くの人たちがよってたかって考えた方が良い。
多くの参加者がいると話に収拾がつかなくなることが多いので、はてなアイデアは一つの例ですが、美人投票を参考に売買を通じた時価総額でちょっと収集がつくようにしているという感じだと思います。これがベストかどうかはまだ分かりません。
また岩井さんと米国のスタートアップを多数支援し、米国を自分の仕事場にしている原丈人さん*1との会談の中で、原さんが米国の数値/財務偏重型経営に痛烈な批判をしている。
九十五年頃にはみんな過去最高益を出すようになるのです。そんな折、シリコン・バレーのある有名企業のトップと食事をしたのですが、「今年の目標は何ですか?」というこちらの問いに、返ってきたのが「一万人のレイオフ」ですよ。
曰く、より業績をアップさせ、株価を上げるためにはそれしか方法が無い。株主の利益の最大化を目指すが、従業員やその他のステークホルダーは無視しているとのことです。この潔さが米国のすごさとは思いますが、私個人としては同意できませんでした。
この本を読んで色々考えることはありましたが、岩井さんと原さんの対談が最もえるものが多かったので、彼らの書籍をこれから色々読んでみようと思うのと同時にそのうちお会いしたいものだと思いました。