ザ・サーチ グーグルが世界を変えた
- 作者: ジョン・バッテル,中谷和男
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2005/11/17
- メディア: 単行本
- クリック: 73回
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非常に面白かったです。
検索について、
- 基本的な考え方
- グーグル以前
- グーグル以後
- 検索がもたらしたビジネス
- 今後の検索
という観点で書かれています。ただし、この本の最も重要な点は、
- グーグルが生まれるまで
- グーグルが株式公開するまで
- グーグルが株式公開してから今まで
がブリン、ペイジ、シュミットへのインタビューを一部交えながら詳しく書かれている点だと思います。
検索に関心があり、検索ビジネスが如何に生まれたのかを知りたい人は
- 第5章 一回五セントで一〇億ドル〜インターネットが金の卵を産む
を、グーグルに関心がある人は
- 第4章 グーグル誕生
- ブリンとページが出会い、アンディ・ベクトルシャイムと出会い、セコイアとKPCBという著名VCから資金調達をするまで
- 第6章 グーグル二〇〇〇ー二〇〇四〜五年で三十億ドル企業へ
- エリック・シュミットの招聘、人材採用方針、Don't Be Evil文化、プロジェクト管理体制、アドワーズ成功*1、アドセンス開発
- 第9章 グーグル、満を持して上場
- 公開をするまでの決断のドキュメント。ブリンとペイジの議決権の話。
- 第10章 グーグルの今日と明日
- 社員が数万になった際にどのように組織をマネジメントするかの議論
あたりを読むと良いと思います。
私は、グーグルの売上を支えるアドワーズが最初は嫌われていた事実が生の声で語られている部分が面白かったです。
p135
投資家に対してカマンガーは、広告のプレゼンテーションを行ったが、ブリンとペイジは広告と検索を組み合わせることには、きわめて懐疑的だった。実際にグーグルを紹介する学術論文では、次のように書いている。我々の基本的な検索エンジンでは、「携帯電話」の検索でトップに出てくる結果は、『ドライバーの注意力に及ぼす携帯電話資料の影響』と題する論文である。(中略)このため携帯電話の広告を表示することで収入を得る検索エンジンでは、経費を負担する広告主のページを正当化しにくい。
(中略)
(ブリン曰く)「検索で金儲けするには、バナー広告が一番簡単だけど、これをやったら、ページの負荷と画像処理時間(レンダリングタイム)が恐ろしく増えることになる。ぼくたちはそれを避けたかった。それに広告は検索とまったく関係がないと思っていた。ではなぜ広告を掲載するかというと、それは気晴らしにすぎなかった」
*1:クリック回数でランク付けされるようになることで人気を博す
検索アプローチの多様性に関してメモ
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の最終章完全なる検索は
なかでも完全なる検索については、いささか楽観的な展望を描き、そこにいたる道筋を解明してみた。例えば偏在性(ますます多くの情報をウェブのインデックスに統合する)、検索のパーソナル化(さらに完全な回答が得られるような、パーソナルなウェブのアプリケーション)、セマンティックなウェブの台頭(情報を発見しやすくできるように情報にタグをつける)、それに特定ドメインの検索とウェブの時間軸である。
としてまとめて終わっている。自分用のメモとして今後の検索で重要となる要素を参考リンクを書いておく。
- 検索履歴(My Web2.0、Google)
- クリック履歴分析(または広義のクリックストリーム分析によるユーザーの行動分析アプローチ)
- デスティネーションサイト以外での検索開始(Y!Q、A9、デスクトップツール、ウィジット)
- 検索可能な範囲の拡大(Amazon Search Inside the Book、Google Book Search、Google Catalogs、Google Map)
- セマンティックな発見アプローチ(タギング、フォークソノミー、wisdom of crowds)
- 時間軸での検索(Internet Archive)