ウェブサービスをビジネス側がどう料理するか、の視点も持とう
Web 2.0の世界というのは、ハードウェアでいえば、全部内製していた時代からファブレスとファウンドリーに移行したようなものだとも言える。
ここからちょっと色々考えてみた。
Amazonの場合
このアナロジーがすごくよく当てはまる。「自分らでも色々やるけど、ぶっちゃ新しい軽い感じのサービスを生み出すことはやめます。AWS提供するから、色々考えてみてよ。データを色々いじって良いから」というのがAmazonのスタンスなんだろうと思う。danさんと言ってることまったく同じだな。
結果として日本でははてなでははまぞうとasinページ、商品紹介を簡単にするAmazletやAmagleみたいなサービスができた。新しいサービス開発の際に、商品紹介のツールとしてAWSが標準になってる。ペパボのSocialtunesとかもそれ。
Amazonがビジネス側にも好かれる理由
AWSが他のウェブサービスと違って開発者だけではなく、ビジネス側にも好かれる理由は二つある。
アソシエイト・プログラムと密接に連携していて金儲けができること、加えて事業者は、AWSから引っ張ることができる商品データを自分たちのサービスと組み合わせてユーザーにとっても価値がある情報を生み出すことができることだ。後者はremixという奴だ。
AWSの採用が進んでいる理由は、アソシエイト・プログラムである程度金を稼げること。そしてうまくremixする能力さえあれば、前者の売上をよりてこ入れすることができるからである。
remixの例としてはてなの場合を見てみる。ユーザーは、はてなのasinページでその商品について触れているユーザーの日記を見ることができるし、レビューも書き込むこともできる。だから単純な商品紹介しているだけのページよりは価値が高い。コンバージョンレートも高くなるだろう。はまぞうとasinページが無ければ、はてなにとってのAmazonの売上はきっと下がる。
Amazon以外のウェブサービスは?
世間には色々とウェブサービスが存在している。はてなも提供している。その結果、ウェブサービス提供者では考えられないまたは考えてはいたけど実現できなかったサービスが、開発者によって生み出されている。このようにして生み出されたサービスが大きくなり、かつデータの利用条件がある程度寛容なものであった場合、事業者はremixによって商売をすることができる。
ただし、事業者の中のビジネス側にとってはこのremixという奴での金儲けは結構悩む代物である。
ウェブサービスを用いたサービスをやるときのビジネス側の役割
確かに以前と比べて開発にかかるコストは安くなった。サーバやホスティングなど。だけどゼロになったわけじゃない。故に、remixで商売をすることを考えた場合、
- 会社組織として固定費が押さえられていること
を達成しなくてはならない。ビジネス側と開発者とで協議しながらでなければ固定費は低く押さえることはできない。ビジネス側がわかりもしないのに「あのサービスでそんなサーバのスペックいらないだろう」とか「(俺のいうこときかないし、無愛想だから)あいつ、このサービスから外しても大丈夫だろ?」とか言ったりして上から固定費削減したりすると開発者のモチベーションを劇的に下げるので、下げたい人にはおすすめだ。
次に、様々なウェブサービスをひろく理解し、組合せの妙を考えることが大事だ。
例えば、はてな検索では、Yahoo!デベロッパーネットワークとはてなブックマークを組み合わせて、検索結果にブックマーク数を出している。ユーザーはこれを使ってオーガニックな検索から得られない優先順位付けを知ることができる。はてなマップでは、Google Mapから提供される地図データの上にはてなフォトライフの写真、はてなダイアリーのエントリー、キーワードを配置した。これによって、ユーザーは地図を見ながらはてなにおける情報を知ることができる。