川崎裕一 / マネタイズおじさん

元起業家でスタートアップのコーチやってます。スマートニュース株式会社執行役員。

825億円を集める寄付プラットフォーム「JustGiving」

2010年7月12日、ETICの鈴木さん(@)にお誘い頂き、JustGivingの創業者ザリン・カラス(Zarine Kharas)の講演会に参加してきました。

結論から言いますとザリンさん、すごいビジネスマンです。

まず金額。JustGivingは2001年にイギリスで生まれ、現在までに1000万人が利用し、集まった寄付の総額は825億円以上。この間わずか9年。世界で最も成功している寄付コミュニティです。

日本でも2010年3月に佐藤さん(@)、梶川さん(@)の手によりJustGiving Japanが設立され500万円を超える寄付を集めています。

古田敦也さん、有森裕子さん、SHIHOさん、丸山茂樹さん、本田直之さんなど錚々たるメンバーが参加しています。

肝心のJustGivingの仕組みですが、単純に個人や団体に寄付ができるというものではありません。

  1. ある団体に寄付をしたいと思い立った人が、何かにチャレンジします。
  2. チャレンジをする際にチャレンジャーは寄付を行う団体(支援先団体)を設定します。
  3. チャレンジを応援する友人、知人、ファンはチャレンジに対して支援金を送ります。
  4. 支援金は寄付金として支援先団体に送られます。

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(http://justgiving.jp/about/ , JustGiving Japan)

チャレンジを通じて寄付をエンタメにしたこと。これがJustGivingの肝だと思います。
JustGivingは集まった寄付金の約15%*1を手数料とし、運営にあてます。

仕組みはこのくらいにして本題のザリンさんの話。

  • JustGivingは株式会社。なぜNPOという形を取らなかったのかという問いに対して「もしNPOやチャリティーという形であれば社員を惹きつけることはできなかっただろう。給与水準は営利企業と同程度であり、非営利のそれとは異なる」と言い切る。
  • 人事評価は会社の価値に関係する(から大事)。個々人ではなくチームで評価する。正直さ、挑戦すること、責任感、イノベーションを評価する。
  • 手数料をとることは事業の持続可能性を高めるために必要不可欠であり、これは十分説明を行っていることから批判はない。またチャレンジする人にとっても、チャレンジし寄付を集めるプラットフォームが他に無い、他に無い価値を作っているのだから手数料を取ることは合理的だ。
  • JustGivingを思いついたきっかけは自分自身がチャリティーに寄付することが面倒くさかったから。情報が非常に不足しており、団体のチェックも難しい。加えてチェックを作ってそれを送るというのも面倒くさい。一方ネットではコミュニケーションが容易であり、課金/送金も非常に簡単だったから、これを活かせると思った。
  • JustGivingの究極の目標とは与える社会の構築。
  • JustGivingにとってソーシャルネットワークはすごく大切なもの。実際ページビューの半分がFacebookからもたらされる。またFacebookでチャレンジを作ることもできるようになっている。チャレンジする人がチャレンジを表明する、そして人が集まってくるという人が人を呼ぶ仕組みがJustGivingにとても向いている。
  • JustGivingの成功の秘訣は、ユーザー体験に焦点を当てたこと、新しい技術に多くの投資を行って来たこと、ロンドンマラソンや各種イベントとのパートナーシップを結んでいることなどが上げられる。
  • チャレンジを成功さえるための秘訣は、興味をもちそうな人にメールする、マスメディアにリリースを送る、Facebookで同じ興味をもつ人を見つける、などなど。
  • JustGivingのお膝元イギリスではギフトエイドという仕組みがある。これは寄付者が10を寄付するとイギリス政府がそれに28%上乗せで支給してくれるというもの。つまり12.8になって寄付先に届く。ちなみに、税金の控除は寄付に関係ないことがわかっている。寄付者は税金の問題を考えて合理的に寄付などしない。
  • 何かを始めるときに気をつけること。いいひとを集めること。新しいこと、何かを変えることを恐れてはいけない。いいアイデアがあればだめでも試してみる。そして忍耐強くあること。勇気を持って大胆に行動すること。ひとからダメだしされで諦めない。いつも楽しんで!

非常に面白かったです。JustGiving Japanを通じてチャレンジ、みなさんやってみましょうー!

参考:

*1:イギリスは5%