『2時間でいまがわかる! 絶対こうなる!日本経済』
田原総一朗さん(@namatahara)責任編集で、榊原英資さんと竹中平蔵さん(@heizotakenaka)が議論する『田原総一朗責任編集 2時間でいまがわかる! 絶対こうなる!日本経済』を読みました。
非常に内容が広範囲にわたりますが、気になったところを3つほど。
企業
日本と韓国を比べると市場規模は日本の方が大きいことが多い。しかし例えば市場規模と社数から一社あたり市場規模を出すと、乗用車は日本が6社70万台に対し韓国は1社102万台。鉄鋼は日本4社1900万トンに対し韓国2社2900万トン。携帯電話は日本6社516万台に対し韓国2社1125万台。このように日本の産業は、同一市場内で企業数が多く、国内の戦いだけで消耗してしまう。その逆の韓国はグローバル市場に対して大胆に迅速に投資して戦っている。
消費税
消費税は増税やむなしとなっている。しかしそれだけで財政健全化というのは甘すぎると竹中さんは指摘しています。
曰く
「これだけ大きな財政赤字をかかえていても、消費税率は5%だし、将来引き上げていけばなんとかなると、みんなどこかで思っているんですよ。しかし成長がいまのように低く、デフレが続くままで消費税を上げた瞬間、何が起こるかというと・・・・・・。(中略)もっとデフレになるんです。そして財政赤字は簡単に減らないことが、よくわかる。加えて、いまのようにポピュリズム的な状況では、消費税引き上げのときに、必ず何かお土産をつけてばらまきます。だから消費税を上げても問題はほとんど解決しないと、その瞬間わかってしまう。」
私もどこかでそんなこと=消費税アップを飲めばなんとかなると(浅はかにも)思っていたので目がさめました。
子ども手当
竹中さんは、「現金給付」「所得制限なし」「困っている・困ってない関係なく全ての子供」「高福祉国家のスウェーデンなみの給付を行う」ことの問題点を指摘しています。
一方榊原さんは福祉とはお金に紐をつけずに配るのが筋であると反論しています。加えて子ども手当に所得制限を設けるのは行政コストと本当に不公平にならない制限という二つの問題があり、現実的ではないと答えています。
お二人が同意した点は「消費税は何%、国民負担率は何%、社会福祉はこんな形になりますと民主党政権はビジョンを掲げないといけない。」という点でした。
アジア・ゲートウェイ構想
最後に竹中さんが指摘してした日本に必要なことは二つ。「都市・環境立国」都市と環境で食べる。「アジア・ゲートウェイ」航空、港湾を開き、移民受け入れ。アジアの成長や活力取り込む。
アジア・ゲートウェイ構想については、平成19年にまとめられています。興味のある方は読んでみてください。
アジア・ゲートウェイ戦略会議 http://htn.to/mnBV37
田原総一朗責任編集 2時間でいまがわかる! 絶対こうなる!日本経済
- 作者: 竹中平蔵,榊原英資,田原総一朗
- 出版社/メーカー: アスコム
- 発売日: 2010/06/21
- メディア: 新書
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