川崎裕一 / マネタイズおじさん

元起業家でスタートアップのコーチやってます。スマートニュース株式会社執行役員。

任天堂「Wii」元企画開発者玉樹真一郎さん「コンセプトのつくりかた」

任天堂「Wii」元企画開発者玉樹真一郎さんによる「コンセプトのつくりかた」。

コンセプトのつくりかた

コンセプトのつくりかた

 

新サービスを世にだそうとしている人は

自分たちのサービスの根本的理解のため。

自分たちのサービスを使ってもらう人に広めるため。

自分たちのサービスに関係するパートナーに理解してもらうため。

にコンセプトを明確にしていく必要があります。

 

玉樹さんの「コンセプトのつくりかた」は、サービスやものを作る人たちこそ、読んでおくべき本です。

 

コンセプトは

  • 世界を良くする方法
  • あなたがしあわせに生きられる方法
  • 母国語の文字で構成される20文字程度の言語

である。 

 

コンセプトは次の2点をクリアしている必要がある。

  • あなたが心の底から同意し、それを行えばしあわせになれると信じていること
  • あなたやあなたの会社が生きていけること(お金が手に入ること、永続性があること)

例えば任天堂のコンセプトは「ゲーム人口の拡大。年齢・性別・ゲーム経験の有無にかかわらず、誰でも楽しめる」となる。ゲームを楽しんでもらえればゲーム好き社員はうれしい。ゲーム人口が増えれば利益をあげられる。2点をクリアしている。

 

コンセプトをどのように生み出していくかが非常に詳細な手順と共に公開されている。それがWiiが生み出されるまでの様子を例としているから興味深く読み進めることができる。

 

コンセプトワークの進め方

-ライバルを羨ましく思う点、自社の劣っている点、業界の悪口を吐き出す

-強烈な負のオーラをまとっている悪口をピックアップしてズラす質問を投げかけることで付箋を増やす

-グループ化1〜6の手順で付箋をグループ化する

--似た要素・近い内容の付箋を集めグループ名をつけてまとめる。

--上限8枚で小さいグループに分ける。

--グループ化の過程で新しい付箋を思いついたら書いてそのグループに入れる。

--グループに入れられない付箋はそのままにしておく。

--付箋の追加漏れチェック、漏れた付箋はなんとなく近そうなグループの近くに置く。

--テーブルの大きな空白があればそこにヒントがあることを意識。空白周辺の付箋やグループを頼りに新たな付箋を追加する。

-物語化1〜6の手順を踏みながら「仮の物語」を更新し、まとめあげる

--正反対の意味を持つグループ・付箋の間に進んでいきたい方向の矢印を引く。

--矢印すべての向きや動きを1つの大きな矢印にまとめ、始点と終点にSとGを置く。

--SからGまでのグループ名称を飛び石のようにたどりながら、「仮の物語」を作る。

--「仮の物語」を足がかりに、さらに付箋とグループを増やす。

--テーブルの上でまだ解釈できていない場所にも解釈を加える。問題解決のルートが複数ある場合は、それらすべてに矢印を引く。

--参加メンバー全員の同意が得られるまで物語化を続ける。

-影を乗り越える1〜2の手順を踏み、物語を「20文字程度の言葉」にまとめ上げ、コンセプトを完成させる。

--物語に対する不安をヒアリングする

--「仮の物語」を構成する矢印の近くに優先度の高い問題が隠されているということを意識しながら、アイテムの付箋を追加し、物語を補強する

 

コンセプトワークのときのルール。否定する、はやりがちなので要注意。

  • 発言は自由だが、仲間の意見を否定してはいけない
  • 発言はしっかりと声に出し、黒ペンで付箋に書いてテーブルに置く。
  • 意味の似ている付箋同士は近くに、似ていない付箋同士は遠くに置く。