川崎裕一 / マネタイズおじさん

元起業家でスタートアップのコーチやってます。スマートニュース株式会社執行役員。

ダチョウ力

マイクロソフト社長、現インスパイア取締役の成毛眞さんのはてなダイアリーで「ダチョウ力」が紹介されていました。

『ダチョウ力』 - 成毛眞ブログ

ダチョウ力 愛する鳥を「救世主」に変えた博士の愉快な研究生活

ダチョウ力 愛する鳥を「救世主」に変えた博士の愉快な研究生活

最初ダチョウ倶楽部の自伝か、はたまたダチョウ倶楽部が芸能界で今のポジションを築くまでの物語かと思ったが、そうではなく、本物のダチョウの話。

作者の塚本先生のダチョウへの溢れんばかりの愛と共に書かれている。これは面白い。ツボに入った。

ダチョウは、時速六十キロで走り、年間百個の卵を産み、六十年も生きる。でも脳は猫並に小さく、ネズミのようにしわがない。

けがをしても回復が驚異的に早い。

ダチョウの世界でもいじめがあって、あるとき体のでかいダチョウが小さいダチョウの毛をむしっていた。ダチョウの毛根は小指の先ほどあるので毛をむしられると穴が空いて出血してしまう。でも毛をむしられたダチョウは何が起きたかわからず痛そうなそぶりもみせず平然としている。そもそも痛みに鈍感らしい。

またあるときはカラスがダチョウの尻を攻撃した。数回から攻撃されダチョウ、尻から出血。血のにおいに敏感なカラスは、何羽も集まってきてみんなでダチョウの尻をつつく。ダチョウ、表情を変えずにもやしを食べている。やがて尻の肉はクレーター状にえぐれられた。見てられない状態に。でも平然としている。生理食塩水かけておいたら数ヶ月後傷は跡形もなくなってしまった。

こんなエピソードが山盛りです。

ちなみに塚本先生はただダチョウが好きな人ではなく、ダチョウの卵から「ダチョウ抗体」を作ることに世界ではじめて成功したすごい人。

強毒性の鳥インフルエンザウイルスのタンパク質をダチョウに注射。ダチョウの体内に大量の抗体ができる。抗体がメスの体内の卵黄に移る。抗体を含んだ卵ができる。この卵から抗体をとる。

このやり方はダチョウだからこそ生きてくる。ダチョウの卵は大きいから抗体もたくさんとれる。更にダチョウはニワトリの抗体よりも感染を抑える力が4−8倍も強かった。

ダチョウ抗体はインフルエンザウイルスに強い。溶液をマスクに塗ればウイルスを退治し感染を防ぐことができる。またアトピー性皮膚炎にも強いことが判明している。ダチョウの卵一つからダチョウ抗体マスクが八万枚も作れる。

ここら辺は、日経メディカルオンラインでの記事に詳しい。

ダチョウの卵黄による精製法を使うと、1羽のダチョウから年間400gの抗体が精製可能となる。卵1個当たり2?4g採取可能で、半年間で計算すると、ウサギの400?800倍の量が採れることになる。生産コストも低く、ニワトリを使って精製した場合に比べ30分の1のコストで済むという。また、1羽から大量に採取できるためロット間の差が少ないメリットもある。これらのことから塚本氏は、「抗体の工業的な使用に十分に適する」と話している。

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