冨山和彦さん『会社は頭から腐る』
産業再生機構で数々の企業を再生に導いてきた冨山和彦さんの『会社は頭から腐る』を読みました。
会社は頭から腐る―あなたの会社のよりよい未来のために「再生の修羅場からの提言」
- 作者: 冨山和彦
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2007/07/13
- メディア: 単行本
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印象的だったのは、冨山さんが最後に人こそが大事であり、その人とはどうあるべきかを書いているところでした。
- 人間は見たい現実しか見たくない生き物であり、その本能から外れて、厳しい現実に直面し、そこを出発点としてPDCAを高速で回すことは、日々鍛錬し意識して実践していかないと決して身につかない。
- リーダーは一朝一夕にできあがるものではない。そもそも人は、強くなく、勝ったときには何も学べない生き物。負けてどん底に落ちて、自分の愚かさを真剣に見つめて、何かをつかむ。リーダーには胆力が求められるが、そもそも失敗の体験がないと、ストレス耐性や胆力も身にはつかない。挫折したとこいに、自分をどうマネージするか、立ち直るか、それを身をもって学ぶからこそ、他人の挫折を救える。
- 『人間性』とは胆力や他人への影響力、目的達成への情熱や執着心をいう。『能力』とは基礎的な経営知識、スキル、「ありのままの現実」を冷徹に見つめる力、そして自分の頭で物を考え、建設的に解決策を創造する力をいう。『人間性』と『能力』を掛け合わせたものが『人間力』である。
悪いニュースを最初に良いニュースは後回しでもよい。良いことはまぐれで起きることがあるが、悪いことはまぐれでは起きず何かの原因で起こることが多い。これはビジネスの先輩方から学んだことです。PDCAを回すときに大事なのは客観性であり、数字や事実。目を覆いたくなるような事実に直面したときに当事者でありつつ極めて冷静にそれを見極めることができるかどうかが大事。
悪いことをまず共有できるか。悪いことに前向きに立ち向かえるか。処方箋はかけるか。処方箋に期限を切れるか。処方箋が外れたときでも次の処方箋を出せるか。一連のPDCAを機械的に回すことができるか。一連の流れを個では無くチームで回せるか。これも大事。
頭で理解していても中々できないこの作業。ひたすら実践して、体にしみこませていくしか、道はないと。
悲観的な見方と楽観的な見方を混在させながら前に進んでいく。とてもつかれる作業ですが、マネジメントという言葉にやりくりしていくという要素があるのであれば、それはあってしかるべきことなんでしょう。
リーダーが逆境の中で、そして現場の中で生まれていくとするなら、今のこの未曾有の経済危機の状況で、かつ現場と経営が極めて近いスタートアップにいるなら、今その環境にいる私たちは、自分を背伸びして、楽せず自分を追い込んで一気に成長していくことができるということになります。
この厳しさを楽しむくらいの心持ちでいきたいです。
刺激を受けました。感謝です。