川崎裕一 / マネタイズおじさん

元起業家でスタートアップのコーチやってます。スマートニュース株式会社執行役員。

『最強の投資家バフェット』

バフェット本数多くあり色々読みましたがこの『最強の投資家バフェット』が一番経営の現場で起きていることにフォーカスが当てられていてとても興味深く読みました。バフェットの投資手法やパーソナリティではなく投資をしてきた企業の経営者たちがバフェットとともにどんな経営に当たってきたのか何を重視してきたのかがしっかり描かれているからです。

最強の投資家バフェット (日経ビジネス人文庫)

最強の投資家バフェット (日経ビジネス人文庫)

その中でも第3章『コカ・コーラとともに』が抜群に面白いと思いました。

  • ロベルト・ゴイズエタの徹底した価値創造経営と経済付加価値(EVA)の導入。基準に合わない非戦略事業から次々と撤退。残ったのは飲料事業だけ。
  • 資本コストを正しく理解し無借金経営の呪縛から逃れて負債資本を利用してROEを高める。*1
  • 調達した資金を使ってばらばらのボトラーを集約しコアとなるボトラーを集中して育成。『コカ・コーラ・エンタープライゼス(CCE)』を設立しこれらの大手ボトラーの持ち株会社とする。
  • CCE株式の持分比率を50%未満に。バランスシートからの切り離してコカ・コーラ本体はマーケティングと自社株買いに集中し身軽な高収益企業に。
  • コカ・コーラのおかげでアトランタは大変に潤った。アトランタにある四つの事前財団の総称である『コカ・コーラ財団』は運用資金をコカ・コーラ株で運用してきた。1980年5億ドルが1997年には100億ドルになった。ちなみに米国では財団は毎年5%を教育や医療分野などに助成金として社会に還元しなくてはならない。1997年にはアトランタを中心とするジョージア州に5億ドル(500億円)がつぎ込まれたことになる。

コカ・コーラの経営から、社会に及ぼす影響まで幅広く知ることができました。

毎年500億円がつぎ込まれる州ってすごいなぁ。ジョージア州は面積で全米24位、人口で9位の州。日本で言えば人口9位は福岡県か。福岡県の教育予算は4015億円*2。500億円分は実に八分の一。福岡県の企業で毎年500億円もの『寄付』を行っているところってあるんでしょうかね。

今更ながらロベルト・ゴイズエタコカ・コーラについてあまり知らず興味が沸いてきたので関連する本でも読んでみるとしますかね。

*1:ちなみにここらへんを理解するには保田隆明さんの[asin:447800093X:title]がおすすめ。ベンチャーに関心がありファイナンスも勉強したいという属性の人にはぴったりの本。資金調達については特に第6章『資金調達の実践』。でも本当はここだけではなく1−5章も飛ばさず読むと理解は深まる。

*2:http://www.pref.fukuoka.lg.jp/wbase.nsf/0d0784395fa5b12f49256b00002a3116/de23fdf49f3afa6b492573f50002a7d3/$FILE/_2224ek44kp888jroghhr113ee227mu44nbg88smggi77114af22a4s44jf0899p0gh9p2gk1j54_.pdf